栄養療法はがん治療でも期待されている

近年注目されている治療法

がん治療の分野でも注目されている

日本人の死因として多くの割合を占めているのが、がんです。明確なエビデンスが存在するわけではありませんが、がんを抑制する効果があるとされている栄養素はあります。そのため、がん治療の分野でも栄養療法は注目されています。

がん治療の分野でも注目されている

失われた栄養素を取り戻すために

がんは突然発症するケースが多いです。がんになった場合、栄養素を積極的に摂取することでがん細胞が活発になってしまうイメージがある人もいるかもしれませんが、それに根拠はありません。確かに、がん細胞は摂取した栄養素をエネルギーにして活動しますが、がんによって奪われた栄養素を補わなければ状態は悪化する一方です。がん治療において近年注目されているのが、がんによって失われた栄養素だけを補う方法ではなく、3大栄養素にビタミンやミネラルを加えた5大栄養素に基づく栄養療法です。これらの栄養素は普段の食事から取り入れられます。
がんによって代謝異常になり痩せていく状態をがん悪液質と呼びます。がん細胞は筋肉や脂肪を分解し、それを栄養として活動します。そのため、筋肉量が落ちて体重が減り、体力が落ちていくのです。この症状が進行すると、歩行や移動が困難になります。また、体全体が倦怠感に包まれ、日常生活に支障をきたします。筋肉量の低下はがん治療において多大な影響を与えます。手術時や、自己回復に必要なたんぱく質の供給に悪影響を与えます。また、抗がん剤の副作用が強く出てしまう可能性があります。そのため、失われた栄養素を効果的に補給するための栄養療法が必要になるのです。

EPAがカギ

では、がんによる体重減少や筋肉量の低下を抑えるためにはどのような栄養素が必要になるのでしょうか。筋肉量を減らさないためには、不飽和脂肪酸であるEPAの摂取が効果的だと言われています。これは、魚に多く含まれる成分です。がんの移転や増殖を抑制する効果が期待されるだけではなく、骨格筋や脂肪を分解する物質の放出を抑制する効果もあります。すい臓がん患者に対する臨床実験において、1日2グラムのEPAを摂取することによって体重減少や筋肉量の低下を抑えることができたという報告があります。
2グラムのEPAを摂取するためには、サバの切り身3切れ、イワシ200グラム、えび1キロのいずれかに相当する食事が必要となります。かなりの量なので、食事だけで補うのは難しいでしょう。そこで有効なのがサプリメントです。EPAを摂取できるサプリメントとバランスの取れた食事によって、がんの進行を抑えることができるのです。

栄養療法についてより詳しく知る